法定相続情報一覧図とは

平成29年5月から,登記所(法務局)にて相続手続に利用できる「法定相続情報証明制度」が開始されました。

法定相続情報一覧図のメリット・ディメリット

  • メリット:相続手続きには被相続人の出生から死亡および相続人の戸籍が必要となりますが、1枚の紙で置き換える事ができます。
  • ディメリット:法務局での手続きが必要です。
    亡くなった被相続人と相続人のみ記載された情報です。相続関係図(家系図的なもの)と比べ、情報は6割程度以下となります。

詳しい説明は「法定相続情報証明制度」について」をご覧ください。

そもそも法定相続情報一覧図の目的は

相続手続きには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍に加え、相続人全員の戸籍が必要でした。

この戸籍(大概は10枚~程度)の束を「法務局の認証を受ける」事で1枚の紙に置き換えるものです。

紙1枚・・というメリットはありますが、法務局の認証が必要となり、「一手間増える」ことで、「戸籍の束を1枚に置き換える」ことは、手続きを行う相続人にとって一体、どれだけのメリットがあるのでしょうか。

例えば、相続登記に1回、預貯金の解約に2回・・・程度なら、法務局での認証を受け、1枚に置き換える意味があるのか疑問です。もちろん、戸籍の「束」は、その都度、返却してもらえば、「使い回し」ができますので全く問題ありません。お客様の中には、戸籍を提出すると返してもらえない・・と思っている方がいますが、そんな事は絶対にありません。

新しい制度についてお客様から複数の質問をお受けしましたのでご紹介します。

よくあるご質問

法定相続情報一覧図と相続関係図の違いは?
法定相続情報一覧図は、単純に戸籍の束を「被相続人」と「相続人」の2者の関係に限り書面で作成した「相続情報」です。
上記のメリット、ディメリットに記しましたが、手続については、戸籍の束に代わるものとして扱えますが、情報は、相続関係図の6割以下です。例えば、父が先に亡くなり、その後に母が亡くなると、母は被相続人として、相続情報一覧図には記載されますが、先に亡くなった父は記載されません。
銀行で、法定相続情報一覧図が必要と言われました。本当に必要ですか?
特に多い質問でした。
事務所では、預貯金の解約業務を行っていますが、制度開始から現在(令和3年)まで、相続情報一覧図ではなく「戸籍の束」で行って問題となった事はありません。
金融機関にとっては、戸籍のチェックが不要となり、業務効率のメリットはあります。しかし、相続人であるお客様にとっては法務局での認証の手間(法務局での認証そのものを専門家へ依頼する場合は事務所手数料)が必要となりますので、メリットが感じられません。
もちろん、あれば便利。けれど、法務局の認証という手間が追加されると考えてください。 なお、相続情報一覧図は認証を受けると、無料で何通でも、5年に渡り発行依頼ができますが、これがメリットと感じる相続手続きは、経験上、滅多に無いと思いますが・・・
相続手続きが「簡単になる」と説明を受けましたが・・
手続き自体、全く変わりません。
銀行サイドの手間が軽減されるメリットがあるだけです。
ところが、法務局の認証を受けるには、従来通りの戸籍の束の提出に加え、事前に相続情報一覧図の作成が必要となります。
一覧図の作成要領など、詳しくは、「法定相続情報証明制度」をご覧ください。
※ 相続情報一覧図は、法務局では作成しません。作成したものを法務局で認証するものです。
実務としてどう思いますか?
相続税の申告で、多くの金融機関に出向いて残高調査や解約を行う必要がなければ、特に必要ないと答えています。
相続税が発生する場合、財産調査などで「戸籍の束」が必要な事が多いからです。また、税理士へ依頼する場合も、相続税申告の手数料(100万円以上の場合もあります)と比較すると、法定相続情報の作成費用は、大きな金額ではありません。手続きを行う税理士も助かります。
言うまでもありませんが、戸籍の束と言っても、4~5枚なら気にする事もないのでは・・と思います。

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