自分は相続放棄するから、遺産分割協議には一切、関与しない・・・
と言う方が居ます。
実務をやっていて感じる事は、「放棄」という手続きは、関与しない・・程度に応じて、手続きが面倒になります。
放棄する・・事は結構、大変なんですね。
なにもしない・・事は許されないのです。
本当に何にもしない場合は、家庭裁判所に呼ばれる事になって、手間を考えると、一番、面倒な事になる事もあります。
一方、「相続放棄」と「相続を放棄」
は、同じ意味に思えるものの、やり方でちょっと異なりますし、その効果も全く違ってきます。
「相続放棄」は、家庭裁判所への手続きが必要で、自分が初めから相続人ではない事となります。
この場合、被相続人の全ての財産を放棄する事になります。
「相続を放棄」の場合、ニュアンスの話ですが、例えば、「遺産分割協議書」の中で、自分が財産を貰わない事にする事でも出来ます。
この場合、遺産分割協議書に記載された財産について、「相続しない」つまりは、放棄する事となります。
つまり、「相続放棄」は遺産分割協議に参加しませんが、「相続を放棄」は遺産分割協議に参加する事となります。
最初に記しました、協議には一切関与しない・・とは、「相続放棄」という事になります。
相続放棄は家庭裁判所への申述が必要であり、更に、家裁から申述証明書を発行してもらいますが、これは、例えば不動産の名義変更の際には遺産分割協議書と一緒に提出する必要もあります。
放棄したから他の相続人へ一切、連絡しない訳にはいかないのです。
面倒でないものから順に記すと
相続を放棄(遺産分割協議書の中で自分が財産を貰わない事にする)
相続放棄(家庭裁判所に申述し、申述証明書を他の相続人へ渡す)
家庭裁判所(調停・・これに出ないと訴訟・・なんて事に)
となります。