令和元年あたりから増えてきた相談に、「前妻のお子様に相続させない対策はありますか?」というものがあります。前夫より、「前妻の子供」のほうが相談件数が多いのは、離婚の際、奥様に親権を渡す事が多いからと思います。
(私が男性なので、とりあえず、男性の立場で記します。)
そもそも、遺言書は「何を誰に遺す」事を記すものであり、言い換えると「何を誰に遺さない」事も同時に記される事になります。ただし、お子様がいない場合を除いては、遺留分が発生しますので、完全に遺さない事を法的に行うには、一定の理由が必要となります。もちろん、前妻との子供に相続させない理由は、通常はありません。
後妻との間に子供が出来、新たな家庭として生活していく中で、自分が亡くなったら、自分の財産は、前妻の子供と後妻の子供の両方に相続権が発生します。前妻との子供と交流があれば、良いのでしょうが、前妻も再婚し、前妻の子供は再婚相手と養子縁組みを行い、それ以降は養育費の支払いもなくなって・・・離婚の際、子供は小さく、もう何十年も会っていない・・実は今、何処に住んでいるかもわからない・・
このケースは弁護士を依頼して調停などを行う典型的なパターンに思えます。相続は基本的には法律に従う事になるのですが、それでは、後妻の生活設計が立たなくなる事例もありました。もちろん費用も着手金から始まって、時間とお金がそれなりに発生します。
この対策には100%はありません。けれど、出来る限りの対策は出来ます。それが「公正証書遺言」となります。最近では、法務局が遺言書を保管するため、そちらの制度の利用を考える方も多くなりましたが、このケースは特にお勧めしません。(その理由)
おそらく、ここまでお読みいただいた方には、遺留分を含め、いろんな疑問が湧く事と思いますし、様々な問題がある事もこれまでの経験上、存じております。ご相談ください。沢山の事例からお伝えする事が出来ます。このあたりは、相談者の立場、考え方で対応などを考える必要があるからです。