遺言書を法務局で預かる制度が始まり、この制度を利用する人が増えてきたそうです。
事務所でも質問される事が多くなりました。

ご相談の中で、この制度の最終目的は「相続人への通知」である事の意味を十分に理解されていないように感じましたので備忘録へ記します。

この通知は,遺言書保管所に保管されている遺言書について,遺言者死亡後,関係相続人等が,(1)遺言書の閲覧や(2)遺言書情報証明書の交付を受けたとき(以下合わせて「閲覧等」といいます。),その他全ての関係相続人等に対して,遺言書保管官が,遺言書が遺言書保管所に保管されていることをお知らせするものです。

詳しくは法務局のサイト「通知の目的」法務局、自筆証書遺言書保管制度を参照してください。

よく言われるのは、家庭裁判所での「検認」を省略できるから便利・・というもの。
個人的には家庭裁判所の業務を軽減するのが目的・・に思えますが、実際にやる事はほぼ同じ事で、面倒が軽減されるとも思いません。逆に家庭裁判所が介在することの安心感はあったように思います。

結論としては、遺言書を作成する側と、それを利用する両方の作業は、あまり変わらないと思います。

こんな事を書くと、おまえの仕事を守るためかい・・と言われそうですが、その理由を記します。

たとえば、「お子様がいないご夫婦が、自筆証書遺言を作成、法務局に保管」したとします。

その場合、残された配偶者は不動産の名義変更や預貯金の解約にあたって、どういった手続きが必要でしょうか?

自筆証書遺言の場合はそもそも
「遺言書に記載された内容が法的に有効かどうか、チェックされていません」
つまり、実際に手続きをする際に法務局での不動産の名義変更や銀行での預貯金の解約が出来るか・・・わかりません。

さらに、法的に全く問題なくとも、基本的に次の手続きが必須となります。

1 配偶者の出生から死亡までの戸籍を集める
2 配偶者の兄弟姉妹の戸籍、兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、甥姪の戸籍を全て集める
3 相続人全員の住所を証明する書類(戸籍の付票など)を取得する
4 上記の1~3から遺言書情報証明書の交付を請求する

なぜなら、この制度の目的は「相続人への通知」だからです。

ちなみに、公正証書遺言の場合は、残された配偶者は市役所へ1回行けば、手続きの全ての書類がそろいます。
午前に市役所へ行き、午後に銀行で預貯金の解約ができます。翌日は不動産の名義変更もできます。
法務局が面倒な場合、専門家へ依頼しても添付書類はそろっており、登記の代理申請のみとなりますので、費用もあまりかかりません。

どうでしょうか?そもそも、お子様がいないご夫婦が遺言書を作成する目的は、亡くなった配偶者のご兄弟が相続人となり、場合によっては甥姪までの戸籍や住所の特定が必要となり、書類集めだけで数ヶ月かかる場合が多いからです。

上記の1~4まで、作業がほぼ、不要となる公正証書遺言の方が、作成の際に費用が発生しても結果として、時間と費用、更には戸籍集めなので手間に大きなメリットがあると私は思います。

例えば、弊事務所で、ご夫婦お二人で同時に遺言書を作成する場合、お二人で78000円です。この金額を高いと感じるかどうかで判断されることをお勧めしています。

実は、この記事を書いております私自身が「お子様のいない夫婦」です。事務所では相談の際、参考に私自身の公正証書遺言書をお見せしています。

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