自筆証書遺言の検認を経ない事を理由に遺言書の効力が無くなる事はありません。そういった意味では有効です。

但し、相続を原因とする所有権移転登記の申請の際、検認の無い自筆証書遺言書は不動産登記法によって却下される事となります。もちろん、銀行等での解約も出来ません。

もっとも、検認を経ない……という段階で(相続人全員が遺言書の中身を理解する事は必要です)、すでに相続人の間で合意があれば、そもそも、検認しないで、あるいは無視して遺産分割協議書を作成して、遺産分割を行えば問題ありません。

もし、自筆証書遺言が封印されていれば、開封は家裁で行う必要ありますし、家裁で開封しなければ科料となります。科料……といっても5万円程度ですので、場合によっては開封してもよいかもしれません。

もちろん、のり付けなど、封がされていなければ、実際には全く関係ないのですが・・

(ちなみに「封」って、遺言書作成のマニュアル本ではよく見かけますが、封がなくても遺言書は「有効」ですから。)

この辺り、相続人同士の関係など、状況判断で……お願いします。

余談ながら、明らかに借金しかない遺言者の遺言書を面倒な手続きを行ってまで検認する気はしない・・・のが普通では・・

それより、さっさと、もっと面倒な相続放棄の手続き・・・と個人的には思ってしまいます。なにせ3ヶ月の期限しかないのですから。

サイトでは「遺言書を裁判所以外で開封すると犯罪!」とか、「検認しない遺言書は無効!」などをよく見かけます。

もちろん、間違いではありませんが、わかりつらいですね。ポイントは、「遺言書内容を理解した上での相続人全員の合意による遺産分割協議書の作成」です。

とはいえ、遺言書は故人の遺志でもあるので、それに従うか否かは別としても、借金の有無にかかわらず、中味は相続人全員が理解する事をお勧めします。遺言書が無い 事を前提に遺産分割を行って、その後に、その遺言書が見つかった場合、既に分けてしまった財産について再度、協議をする事になると面倒だからです。

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