遺言書で自分の遺体の処理方法を指定することは可能です。
ただし、その内容には法的な強制力はないとされています。
遺体の処理方法としては埋葬や火葬がありますが、遺体の所有権は祭祀を主催する者にあるため、最終的な処理方法はその祭祀主催者に委ねられることになります。
例えば、散骨を希望する場合、その旨を遺言書に記載することができますが、これは付言事項として扱われ、いわゆる法定外事項に該当します。
実際の手続きとしては、遺言書に自分の希望を付言事項として記載するとともに、法定記載事項として祭祀主催者を指名し、その方に自身の意志を伝えておくことが最善の方法です。
実務的にも、事務所で作成する遺言書において、遺体の処理に関する記載が増えており、これは墓地の不足や核家族化、埋葬方法の多様化などが背景にあります。
また、「散骨は罪に問われないのか?」という質問をよく受けますが、散骨は墓地埋葬法に規定されていない遺骨の処理方法であり、祭祀として節度を持って行う限り、墓地埋葬法や刑法上の罪には問われないと解釈されています。
今後は、散骨などの自然葬を希望する人が増加していくと考えられます。