家族信託と遺言信託

具体的に家族信託で何かできるかの解説です。

家族信託の利用について(現時点の事務所の考え方)

家族信託を利用する事で 遺言書で実現できなかった部分、成年後見契約で難しかった財産管理などがスムーズに行えます。

但し、こちらでは、余り勧めていません。理由は、公正証書遺言と違って、問題が生じた際の裁判例が極端に少ないからです。

一見、都合のよい遺言信託ですが、便利と感じる分、逆に「不利益」と感じる方もいるという事も認識する必要があります。

公正証書遺言は、既に様々な裁判事例もあり、過去の事例を踏まえて、実現可能な内容で作成できますし、相続が始まった際の対策も今から考える事ができます。しかし、残念ながら、遺言信託には、それがありません。

公正証書遺言でさえ、時には裁判沙汰になる場合もあるのですから、遺言信託は、それ以上に問題が生じる場合があると認識したほうが無難だと感じています。

こちらでご紹介するように、とても良い制度には見えますが、長く事務所を経営する立場から、問題となった事例を学べない以上、それなりのリスクをお含みいただければと思います。

現在は、遺言書をベースに任意後見契約:見守り契約・財産管理契約・死後事務委任契約についてサポートを継続しています。

家族信託・遺言信託とは

信託・・と言えば、信託銀行のイメージがありますが、実は信託法が改正されて、いわゆる普通の一般家庭の財産の承継や管理に信託の仕組みを利用するものです。

説明は難しいのですが、具体的に何かできるかと言えば・・・

親族(高齢の親や年少者)の財産を代わって管理する
→ 詳細はこちらをご覧ください。

より確実に財産を相続させる・・遺言書対策
→ 詳細はこちらをご覧ください。

共有不動産対策になる
→ 詳細はこちらをご覧ください。

贈与後、財産を受けた受贈者が無駄使いしないように継続して贈与者が財産管理する
→ 詳細はこちらをご覧ください。

子供に贈与した事を伝えずに贈与する
→ 詳細はこちらをご覧ください。

面倒な解説ではなく、実際の相続の現場での活用について紹介したいと思います。

高齢者や年少者の財産管理を代わって行う・・後見人よりもメリットあり

高齢者の例でご説明します。

最近では高齢者に意思能力が発生した場合、後見人や、発生する前に任意後見契約など対策を行う場合がありますが、これは意思能力に問題が発生する前に、高齢者が「委任者」として、例えば息子「受託者」として次の二つの契約を結ぶ事ができます。

  1. 財産の管理契約
  2. 贈与・受益者を決める

後見人契約と比べて大きなメリットとして

財産管理報告が不要

財産処分には後見人の場合は同意が必要となるが、信託では不要

相続対策としての贈与や住宅資金の贈与が出来る

但し、信託は契約である、つまり法律行為ですので認知症等で問題になる前に信託契約を結ぶ必要があります。

遺言書対策としての遺言信託と信託契約

遺言書のメリットに「書き直し」がありますが、実務では問題となる場合があります。

例えば家業を継ぐために主な財産を長男に相続させる遺言書作成した場合、その後、他の兄弟から不公平だから均等に・・とか、面倒を見た長女へ全ての財産を・・といった理由で長男が知らない間に遺言書が書き直される事があります。

親の財産ですから、その親がどのように財産を処分か決めるかは自由です。

しかし、家業の事で精一杯の長男から見ると、家業を承継する事が難しくなる事もあり、不安定となります。

この場合、2つの信託が考えられます

  1. 遺言による信託
  2. 信託契約

2つの違いは実質的には、効力が発生する時期の違いとなります。遺言による場合は、遺言書が亡くなった時点となり、信託の場合は、信託契約締結時となります。

なお、遺言による信託の書き直しですが、もちろん可能です。
但し、信託契約ですから、受任者、委任者、受益者(信託契約の際に定めます)の合意が必要となりますので「知らない間に書き直される」事はありませんが、逆の意味では書き換えは簡単ではない・・とも言えます。

遺産分割で共有名義となる不動産対策に利用できる

遺産分割の結果、不動産を共有名義とした場合

  1. さらに相続が始まった場合、権利関係が複雑になる
  2. 不動産の処分には共有者全員の同意が必要となる

そもそも、共有名義にする事は上記の1の観点から避けなくてはなりませんが、上記2の対策として、相続人が所有権としてではなく「信託受益権」として共有することで、不動産の共有者と同様の権利・財産的価値は保持させ、更に不動産の管理処分権限だけを受託者一名に決める事で、上記の対策が可能となります。

贈与後、継続して贈与者が財産管理する。
子供に贈与した事を伝えずに贈与する。

これは、障害や幼いために、財産の管理能力に問題ある場合や、浪費癖のある方へ贈与した場合に利用するものです。

主に信託会社を利用し、毎月一定の金額を贈与を受けた方へ支払うものです。

また、子供に知らせないで贈与する場合、本来は、受贈者である子供の承認が必要ですが、年少者の場合、親権者の受託でかまいません。
信託契約書の中で「受益者である子供に、受益者となった旨を伝えない」とする事で可能となります。

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